9. スキル向上のためのドリル
content by Ben Tan
reviewed by James O'Callaghan


 戦術


 
戦術を習得するには、他艇と近くにいることが一番いい。自分の全てのトレーニングパートナーを呼び集め、小さいコースを使う。アップウィンドでの戦術が最も難しいので、上マーク目指して上る時間をたくさん取る。

・スタート
 スタートはレースの結果を大きく左右するので、実際的なスタート練習を頻繁に行う。完全になじむまで、8章で推奨したスタート前の一連の手順に従うこと。スタートから、風上へマークに向かって100メートル上ってから戻ってもよいし、コーチがホイッスルを鳴らしたときに戻ってもよい。不満足なスタートを切ったボートは戻らなければならない。
 この機会を使って、高いリスクのために、実際のレガッタではほとんど試すことのできない戦略を練習する。そうすれば最終的に自分の中の恐れを克服することができる。このような戦略には、ピン・エンドあるいはスタートボートのすぐ側からのスタート、並びにポートタックでのスタートがある。
 短いスタートラインを使って、全員が最前列に入りこもうと激しく競争する練習をする。ラインは意図的にバイアスをかけて(風位に対して傾けて)、セイラーにこうした状況に対処する戦略を練習させることもできる。停止しておくスキルを練習するためには、全てのボートをスタートまで一分間、ライン上にとどまらせるのがよい。

・短いコースでのレース
 適切なスタートを切り、上マークと下マークを、風の強さに応じて200メートルから500メートル離しただけの短いコースを回航するレースをする。フリートを一緒にいさせるために、それぞれのマークを最初に回航したボートには360度あるいは720度のターンをさせてもよい。これは「あっという間」のレースなので、意思決定する時間はあまりない。風のシフトやブローではなく、ボート間の戦術により注意を向ける。

・マッチレースとチームレース
マッチレース…スタート前から2艇の戦いが始まる。コースを決めて、コーチにスタートのカウントダウンをしてもらう。準備信号で、2艇(それぞれスタートラインの両エンドにいる)はコースサイドからプレスタートサイドへとスタートラインを横断する。そして、実際のレースはこの時点から始まり、両者はスタートを制するために戦う。
 レーザーの機動性は、素早い判断を必要とし、さらに包括的なレースルールの知識を要求する。フリートレースでも、わずかな艇がトップを競っている時には、レガッタの最後にはマッチレースの戦術(特にスタート前の作戦)が用いられことがある。有名な例としては1996年のオリンピックでのベン・エインズリーとロバート・シェイドの歴史に残る戦いがある。
チームレース…これもマッチレースに似た課題と興奮をもたらす。それぞれ2〜4人の同人数のチームを作り、それぞれのチームは識別のために、マストやブームにリボンなどをつける。上マーク、下マークをセットして、コーチに3分間のスタートのカウントダウンをしてもらう。一番遅くゴールしたボートがいるチームが負けとなる。
 チームレースでは、セイラーは全体像を意識しつつ、チームメンバーやライバルの相対的なポジションを見るために注意を外に向けなければならない。マッチレースやチームレースに関する文献はいくつかあるが、必要なのは一番分かりやすい本であり、これで基本的なアイデアを得ることである(推奨文献参照)。残りのトリックについては、自分自身で水の上で発見する。