下りレグ


 
下りレグのはじめは上マークを回ったら、まず波の上に飛び乗り、できるだけ早くボートをプレーニングさせる。下りレグでは進めば進むほど勝者と敗者の差は大きくなる。何よりも大切なのはスピードだ。
 レーザーはブロードリーチと同じように(ブロードリーチよりも良くはないが)バイザリーでセイリングできるので、風のシフトはレーザーセイラ−の頭の中のチェックリストでは高く評価されていない。一方で、ブローは大きな違いをもたらす。上りで一定の間隔で風上を見る癖をつけたように、下りレグでもガストの斑点を探して風上を見る癖をつける。快適に後ろを振り返りながらセイリングできるようにならなければならない。
 波を捉まえるには技術もまた非常に重要だ。大きな波があればだれでもボートをプレーニングさせることができるが、エキスパートはずっとプレーニングしているかのように一連の波を連ねることができる。また、それほどスキルのないセイラ−がプレーニングできないコンディションであっても、彼らはプレーニングできる。
 
 スピードに加えて、レースに勝つためには下りでの戦略・戦術も必要だ。

右か、左か?
 
下りレグの最初に決めなければならないことのひとつに、左右どちらに行くかということがある。フリートの最後尾のボートには中央を行くという追加オプションもある。上りレグで集めた情報を使って、どちらが好ましいサイドなのかを決める一助とする。片側がもう一方に比べて好ましいかを決める要素として以下のものがある。
* スターボードタックの行列
 まだ上マークを回っていないボートが左側に集まっていたら、ブランケット効果を避けるために右から行くだろう。これはフリートの先頭および中央のセイラ−に関係する。
* ブロー
 下りレグで最初のブローを取り込むためにブローに向かってセイリングした後、そのサイドにい続ける事が多い。風がコースの両側で平等でないこともあるかもしれない(オフショアの風で地形の影響によるファネリング《湾、河口などでの強風域の発生》のために、コースの片側に強風バンドがある時など)。
* 潮流
 軽風時には、コースを横断する潮流によってフリートがラムラインの片側に押されることも多い。ボートが弧を描いてセイリングするので、不要な距離を走ることになる。軽風で強い潮流がある場合は、レグの最初にトランシットをとってよぶんな距離をセイリングするのを防ごう。新たな風やブローの斑点を発見したのでなければ、ラムラインの近くにとどまること。好ましい(背後からの)あるいは逆向きの潮流では、潮流の強さはコースの両側で異なるかもしれない。これは特に水深に差がある場合に起こる(前章参照。水深が浅い部分で潮流は速くなる)。
* インサイドオーバーラップ
 下りレグが短くレースが接近している場合、次のマークでの混雑を予想したらマークでインサイド・オーバーラップの権利を取るために左側をセイリングすることを考えよう。
* 背後のボートによるブランケット
 後からマーク回航したボートは前にいるボートをブランケットする。ウィンドシャドウを避けるために、先行しているボートは、背後の集団の左右どちらかの風がよりクリアな側を決める。反対側に行くためには乱れた空気の中を大きく横切らなければならないから、ひとたび決めたら反対に動くのは難しい。
* 行動のためのルーム
 波に乗り、ガストをつかまえるためには、コースから少し外れることもやむをえず、時には非常に重要になる。周りのボートと一緒では、コースの変更は制限されるので、サイドに寄ってフリートから離れるのも手である。

追い抜く手段としてのブラ塔Pット
 
上りレグでは、先行艇は後続艇に対してブランケットや裏風のゾーンを戦術武器として使えるため優位にある。下りレグではこれらの武器を利用できるのは後続艇である。フリートレースでは、先頭集団にいるボート以外は互いにブランケットすることに何の意味もない。リーチングでも後ろのボートは先頭集団を捉えることができるように、互いにスローダウンさせあうを避けなければならない。
 ランニングの間中、前にいるボートをブランケットしつづけるのは合理的ではないが、下マークに向かっている時に、インサイド・オーバーラップをとるためにブランケットするのは仕方がないといえよう(ボートが全部集中するから)。前のボートをブランケットするには、自分の風見の延長線上に風下艇がくるようにする。レーザーのセイルはあまり大きくはないから、前のボートを止めるほどの効果は期待はできない。プレーニングのコンディションでは、うまく波に乗っていくことの方がが前のボートを追い抜くのにはより効果的だ。

リードを守るために
 
先行している場合には、風見が背後のボートを真直ぐに指したら、後続艇から離れてブランケットされるのを避ける。波にのって通常のコースから離れることによって、後続艇は真直ぐ風上のポジション(ブランケットできる位置)をキープするのが難しくなる。
 先頭のボートは、自分のポジションを守るのに下りでのスピードに頼らなければならない。そしてそのためにはクリアエアが必要だ。自分が利用できるガストと波を使って、下マークに達するのに一番速いコースを見つけることだ。同時に、後続艇と同じサイドにとどまるようにしなければならない。そうすれば後続艇が受けるよいガストや波を自分も受けることができる