リーチ リーチ(リーチング)での最優先事項は、ボートをプレーニングさせることだ。なぜなら、サーフィングしているレーザーとしていないのとでは明らかにスピードが違うからだ。プレーニングしている限りコース取りの差はそれほど大きくない。
リーチングレグに入る前に、マーク回航後すぐに次のマークに向かう方向にボートをプレーニングさせることができるように、次のマーク(すなわちジャイビングマークあるいは下マーク)がどこにあるのかの針路をつかんでおく。ボートがプレーニングしはじめたら、ラムラインからのずれを把握するためにトランシット(針路の見通し線)をとる。これは特に軽風でプレーニングしないコンディションの時に必要である。高く走るか、落として走るか?
ウィービング、つまりラルでは上らせて、ガストでは下とすのが風に対する有効な戦略である。ウィービングする中心線は、上側、下側、中央が選べるが(図8-22)、レグの始めにどのコースを取るかは以下によって判断する。
図8-22 リーチング・レグのコースどり*卓越風の風速の変化
嵐の接近のように急激に風が強まる状況では、まず上らせてセイリングする。そうすれば風が強まった時に下として走ることができる。軽風の時は、新しい風は通常コースの上側から来るから(風向きが逆にならなければ)、ガストや新しい風を探すために上らせてセイリングする。対流によるストームの場合のように、風が急に弱まる状況では、まず下としてセイリングしておくことで、風が弱まってから、より高い角度をとってスピードを得ることができる。
*ガスト
リーチ・レグの最初にガストがあったらブローとともに下とす。レグの最初がラルだったら上らせてセイリングする。つまり、レグの最初がラルかブローかによって、残りのレグで上側を走るか下側を走るかを決めることが多い。
*潮流
潮流は軽風時に大きな役割を果たす。潮流によってフリートがラムラインよりも上下に大きく押されることもある。これらのボートは次のマークに行くのに大きな弧を描いてセイリングする。軽風でコースを横切る強い潮流がある場合、トランシットをとることでよけいな距離をセイリングするのを防ぐことができる。新しく来る風を見つけた場合以外は、いずれにしてもラムラインに向かっていかなければならないのだからラムラインの近くにとどまること。
* クリアエア
上側のボートの方がよりクリアエアを得やすい。下側のコースではラムラインより下に少し離れないとクリアエアは得られない。
* インサイド・オーバーラップ
リーチ・レグが短く、競争の激しいフリートでは、次のマークでも混雑が集中することがある。下としてセイリングしていればマークでインサイド・オーバーラップする利点があるかもしれない。
*行動のためのルーム
サーフィングやウィービングするには、波・ガスト・ラルに応じて原則的なセイリングから大きくはずれる必要が出てくる。周りを他のボートに囲まれてしまうとこれは難しいから、可能ならフリートから離れる。通常フリートは、各艇がラフィングしあうために上ったコースをとることが多い。したがって、ラムラインより下側では作戦的な行動のためのルームがある。ただし、レーザーセイラーは波に乗ることの大切さをよくわかっているので、ラムラインより下であっても混雑することがよくある。自分の周辺のフリーなスペースを保つには、先行艇がラムラインより上側をセイリングしていたら、マーク回航後すぐに下とす、あるいは反対に上らせてセイリングすることを考えよう。上りレグと違って、下りレグの間はラムラインの上に連なる長いセイルの列でブランケットされるので通常スピードが出ない。例外は、フリートの先頭にいるか最後尾にいる時だけだ。フリートの真中ぐらいの位置では、コースの上側・下側どちらを行くかのオプションは狭まる。もし、下として行くことに決めたら、これを継続しよう(上から新しい風が来るのを見つけた場合以外は)。中途半端な努力は、乱れた空気の中に自分を置くことになる。
リーチでのカバーリング
リーチ・レグで自分のポジションを守るためには、次のマークと競争相手との間にいることである。相手は君を追い抜く時、君の近くを通らなければならなくなる。相手が君のところまでサーフィングしてきたら、君は相手が乗ってきたガスト、波、なんであれ、その利益を得ることができるだろう。同様に、フリートに対しての自分のリードを守りたいなら、次のマークと一番風上にいるボート、そして一番風下にいるボートで構成された三角形の中にいること。
カバーリングしている場合によくあるミスのひとつは、後続艇に過剰に反応しすぎてしまうことである。後続艇は、自分が持っているブローや波によって、上ったり下としたりする。カバーリングしているボートが相手の動き全てを真似ようとすれば、自分自身のブロー、波のセットに合わせた最適なセイリングはできなくなる。正確ではないがおおよその目安としては、自分の波、ブローに乗りながら相手と次のマークの間にいること。すなわち、自分がガストの中にいる時に後続のボートが上らせたら、そのままガストに乗って風下へ進み、そしてガストから外れた時にはじめて上ればよい。速くセイリングすることが最大の防御である。
図8-23 リーチングでのカバーリング。常に三角形の中にとどまることリーチングでの追い越し
前のボートを風上・風下のいずれからでも追い抜くことができる。この選択は、追い抜くボートの実力(たとえば君が軽量で風がオーバーパワーなら風下から行くのがいい)と戦略(上側を走るか下側を走るか)による。風上からの追い越し
前のボートに近づき過ぎる前に、相手の風上・風下のいずれから追い抜くかを決める。ぎりぎりまで待ってから決めないこと。風上近くからの追い抜きは、守りに入ったボートがラフィングしてくるのを促すだけであり、両者にとっての損失となる。早めに上り、相手と十分な間隔をとることでラフィング・マッチの可能性が減るだけでなく、波に乗って下るためのスペースができる。絶好のタイミングを待ち、ラルで上ってセイリングして優位にたち、よい波やガストの中で上ってしまって波やガストを無駄にしないこと。風下からの追い越し
風上の場合と同様に、相手に近づきすぎる前にアクションを起こし、前を行くボートのより風下へセイリングする。近づきすぎるとブランケット効果(他のクラスに比べて絶対的ではないが)により減速してしまう。大きなガストあるいは波を辛抱強く待ち、相手のウィンドシャドウを撃ち破るような大胆で明確な動きをする。ウィンドシャドウの反対側へ出るのに成功したら、自分のポジションを守るために少し上り、そこから下とす前にスピードをつけておく。さもないと、抜き返されてしまうだろう。
追い越すための機会を探すことが大切だ。たとえば、前方のボートがラフィング・マッチに巻き込まれているのを見たら、一団全てを風下から抜き去るチャンスをつかもう。常に成功するとは限らないが、次のマークへのリーチングに入る直前は風下側からの急襲を図るのによいタイミングだ。もし風下突破できなくても、少なくともマークでインサイド・オーバーラップをとることができるだろう。ラフィング・マッチ
2艇あるいはそれ以上のボートが、ラム・ラインから離れてより高く上らざるを得なくなってしまうのをラフィング・マッチというが、これはその渦中にいるボートにとってはロスとなる。もしフリートの中央あるいは後方で、君のいる一団の中でラフィング・マッチが起こったら、これはは先頭集団からより遠く離れてしまうことにしかならない。先頭集団に追随するためには、協力して互いに一列になっていこう(プレーニング・コンディションでなければ)。そうすれば先頭集団は引き離すことがより難しくなり(特にランニングで)、グループの皆に先頭集団を捉えるチャンスがある。
グループ協力(先頭集団に追随するために行なう)の別の形として、意図的かつ不必要なブランケッティングを避けることがある。風上から追い越したら、オーバーラップが切れた所ですぐにベアする。そうすれば風下艇は、必要以上に長く君の乱れた空気を我慢しなくてもよい。風下艇が君に向かってラフアップできるのにしなかった場合、少なくとも君は彼の風を奪わないという形でお返しをするべきである。
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