7. 潮流

content by Ben Tan
reviewed by Jacob Palm




 潮流に立ち向かう

 潮流の理解ができたら、次に潮流の中での戦略を考えてみよう。

スタート

 スタートの前に、潮流の方向を知っておくことは重要である。なぜなら、この情報がスタート時とその後のレースの戦略に影響を与えるからである。潮流をチェックするのは、スタートのためにトランシット(方位角:この場合はスタートラインの見通し角)を測る時がよい。トランシットを測りながら、マークあるいは本部艇ののアンカーラインの周りの流れを見ておこう。
 潮流がコースと逆向きだったら(つまり、上マークからスタートラインに向けて潮流が流れていたら)、特に軽風の時はスタート前にラインの近くにとどまることが重要だ。軽風でかつ強い潮流が逆向きで、スターティングラインに行くだけでも大変な場合には、黒旗ルール(黒旗が掲揚された場合、スタート前にスタートラインの風上にいてはならない)や1分間ルール(帆走指示書によってスタート1分前からスタートラインの風上にいてはならない)が適用されていなければ、ラインよりも風上にいたいとさえ思うだろう。
 逆向きの潮流が強い場合、スターティングラインの中央にたるみができることが多い(ライン中央部のボートが風下に下がる)。もし、この状況を予測してトランシットを正確に測定していたなら、最高のスタートを切るためのチャンスができ、他のボートに遮られることなく先行することができる。
 有利な潮流(風上に向かって流れている)の場合、スタート前にはスターティングラインよりも十分下がっていることで、フライングのリスクを減らすことができる。この場合は、スタートラインから押し出そうとする背後のボートに注意しなければならない。

アップウィンド・レグ

 コースの左右のサイドで潮流の違いがあれば、これを利用する。上マークへのアプローチで潮流があると、レイラインを読むのが難しくなる。もし、分からなければ、マークで立ち往生してしまうリスクを取るよりも、早めにタックをした方がよい。

リーチングとダウンウィンド・レグ

 図7-7は、軽風時のダウンウィンド・レグで強い横からの潮流がある場合によく起こる例を示している。次のマークに向けて、余分な距離をセイリングするのを避けるためには、上マーク回航後、すぐにトランシット(上マークへの方位角)を測り、ラム・ラインの近くにとどまることができるようにする。


図7-7 コースと交差する強い潮流(黒い太い矢印)があると、フリートはラムライン(点線)の片側に流れやすい。黒いボートは、潮流の力を押さえるために高く上って走り、ラムラインの近くにとどまることで、ゲインすることができる。

 軽風時のリーチングでは、ラム・ラインの風上・風下をウィービングしながら進むことができる。ラルの時には、上らせてラム・ラインの風上側をセイリングし、ガストが入ったら落としてラム・ラインの風下側に向かう。しかし、コースを横切る潮流が緩く、十分な風がある時には、ラム・ラインの近くにこだわる必要はない。その場合は、クリアエアを得ることとサーフィングをすることが優先事項となる。
 ダウンウインド・レグで、プレーニングできるような状況でなく、しかも強い横切る潮流がある場合は、ラム・ラインの一方によいブローがない限り、ラム・ラインから大きく離れないようにする。プレーニングが可能な状況では、プレーニングを継続できるのであればラム・ラインから大きく離れても構わない。

 イギリス南部のソレントのように、潮流が非常にトリッキ−で理解しにくい海域もある。しかし、もし本章で述べた原則を念頭におき、現場で観測した最新のコースの海況を活用すれば、フィニッシュラインにより速く到達するための有効な戦略を生み出すことができる。