6 風パターンと戦略
content by Ben Tan
reviewed by Meteorological Service Singapore and Jacob Palm
雲のメッセージ
高層の絹雲(巻雲)から低層の層雲まで、多くの種類の雲がある(図6-19)。どの雲も、大気の状態についてに私たちにに何かを語りかけている。中でもディンギー・セイラーにとっては、地表風に最も近い低層の雲が有益な情報を与えくれる。たとえば層雲と高層雲は安定した空気の状態の目印であり、積雲は不安定な空気の目印だ。私たちに最も多くの情報を与えてくれる低層の積雲について細かく見ていこう。
図6-19 さまざまな雲。上層の雲は高度6000〜1万3000mに現れ、氷晶でできている。中層の雲は雲底高度が2000〜7000mで、水滴でできている。下層の雲は雲底高度2000m以下。上段)上層の雲、左=巻雲(Cirrus:Ci)、右=巻積雲(Cirrocumulus:Cc)/中段)中層の雲、左=高積雲(Altocumulus:Ac)、右=高積雲(左の塊)と高層雲(右の層状の雲、Altostratos:As)/下段)下層の雲、左=扁平積雲(Cumulus Humilis:Cu-hum)《好天の積雲》、右=雄大積雲(Towering Cumulus:Cu-con)《すぐに積乱雲(Cumulonimbus:Cb)になる》積雲―Cumulus Clouds
積雲はお互いに離れていて、はっきりした輪郭と平坦な基部をもっている(図6-19下左)。それらは小さな扁平積雲(cumulus humilis)から、すべての雲の母ともいえる15kmもの高さに発達する積乱雲(cumulonimbus)まで、さまざまな大きさがある。 積雲は上昇気流によってつくられる(図6-20)。空気が上昇すると冷やされ、含まれる水分は凝縮されて雲をつくる(編注=空気が冷やされると、空気中に含むことができる水蒸気量がすくなくなるために余った水蒸気が水滴に変わり雲をつくる)。上昇気流が強いほど、雲は背が高くなる。時々、雲は折れ曲がったように見えるが、それは高層の強い風を示している(図6- 19下右)。
図6-20 雨を降らさない積雲の周囲の空気の循環雲の色は、セイラーにとって重要ではない。それは単に、私たちが太陽と同じ側にいるか(白い雲)、または太陽の反対側にいるか(黒い雲)によって違うだけだ。
穏やかな日には、陸地では、広い野外駐車場のように特に熱くなる場所の上に雲が浮ぶことがある。昼近くなってくると、海岸線のすぐ内側に雲ができ、シーブリーズの発達を知らせてくれる(図7-21)。
図6-21 海岸線のすぐ内陸側に形成された積雲海上では、表面温度は陸地にくらべると均等だが、それでも雲は現れる。それは次のような場合だ。
・外洋の軽風バンドの上にできる雲列。
・海岸線に沿った収束帯の上にできる雲。
・温帯では、寒冷な空気(寒冷前線)が暖かい空気を押し上げることによって前線の雲がつくられる(図6-22)。この雲は一列になった積雲として現れる。雲の下では、北半球では風はベアし(時計回りに風向を変え)、南半球ではバックする(反時計回りに向きを変える)と予想できる。
図6-22 寒冷前線が暖気を押し上げてできる前線の雲積雲は上昇気流のしるしだから、雲の下では風が軽くなる傾向がある(収束帯を除いて)。したがって、可能ならば大きな低層雲の下でのセイリングは避けたいものだ。
雨を降らす雲
以上では、雨を降らさない積雲について述べてきた。では雨が降ると、何が起こるだろうか? 雨雲の下では、雨は空気を冷やす、そして同時に、水滴は空気を「引きずり下ろす」。その結果、雲からは冷たい空気の流れ出す。風の強さはさまざまで、外部へ放射)するように吹く(図6-23)。
図6-23 穏やかな天気(左)と地表風がある場合(右)の、雨雲の周囲の風パターン
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