13章 セイラーのためのスポーツ医学の基礎
content by Ben Tan
revied by Tullio Giraldi, Teh Kong Chuan, Patrik Goh, and Saratha Bhai Krishnan


ドーピング

ドーピングには、禁止されている種類に属する薬物を投与すること、そしてまたは禁止されている様々な方法を用いること(たとえばドーピングの検査をされる時に自分の尿検体を他のものととりかえるなど)がある。禁止されている薬物の種類と方法については国際オリンピック委員会と国際セイリング連盟によって明示されている。

レーザーでのセイリングの身体的な特性から、セイラーたちは筋肉の量と強さを増大させる作用のある(蛋白)同化ステロイドを、またハイキングや持続的に体の損傷が起っていることから生ずる疼痛を麻痺させるような薬物、または長時間のレースが原因で蓄積した疲労と戦うために役立つ興奮剤(刺激剤)などを使ってみたいという誘惑にかられることがあるにちがいない。しかし、このような形での薬物投与は医学の倫理に反するものであり、レーザー競技の根本的な原則に反するものだ。ドーピングを行ったうえで競技を行うことは公平なものではない。さらに高価な代償を支払わなければならないことにもなる。ドーピングはその人の健康を害し、なかには死に至った例もある。ドーピングによって得られる利点の多くはトレーニングを行うことでごく安全に達成することができるのだということを忘れないでいてほしい。競技を行うすべてのセイラーは飲んだり食べたり、摂取してよいものと摂ってはいけないもの、行ってよいことと、してはならないことについて熟知しておく必要がある。禁止されている薬物の種類の一覧表を表13-3に示す。リストアップされているもののほかに、使用することは許可されているが一定の制約が加えられている(条件つきで許可されている)薬品もある。そのような薬の中にはアルコール(アルコールはヨットレースでは検査されていない)、カンナビン(たとえばマリファナ,ハシシ)、局所麻酔薬,糖質コルチコイド(glucocorticosteroids:強力な抗炎症薬の一群)、β-ブロッカー群(これらは心拍数を下げ不安を緩和するものでマッチレースのヘルムスマンでは禁止されている)。

表13-3 IOC/ISAFにより禁止されている薬物分類群(2000年4月1日版)

[禁止薬物群] [薬物の例(これら以外にも多数ある)] [誤用される理由]
   
1. 興奮剤(刺激剤)  アンフェタミンAmphetamine、コカインcocaine、カフェインcaffeine、エフェドリンephedrine、擬似エフェドリン、seudoephedrine、phenylpropanolamine、salbutamol(Ventolin)
選手を活気づけ一層積極的かつ攻撃的にする
 
2. 麻薬(麻酔剤) モルヒネMorphine、pethidine
感覚を鈍らせる
3. 同化作用薬
同化ステロイドを含む(stanozolol、nandrolone、androstenedione、DHEA、testosterone)
貧弱な体格を大きく強くする
4. 利尿剤 Furosemide、acetazolamide
体重減少(体重制限のあるスポーツに)、他の薬物の存在(使用)を隠蔽するために
5. ペプチドホルモンとその模倣合成物質、相似物 成長ホルモンGrowth hormone、インスリンInsulin、Erythropoietin
成長ホルモンとインスリンは体格を大きくする。エリスロポエチンは血中ヘモグロビンを増加させる。


医薬品使用時は、医師、薬剤師に適切な使用量と使用法について相談すること