10. セイリング・フィットネス
content  by  Michael  Blackburn
reviewed  by  Todd  Vladich,  Pia  Bay,  Jacqueline  Ellis,  Saratha  Bhai  Krishnan,  and  Sharifah  Shwikar Aljunied


心肺機能(呼吸循環系)の耐久力

  心肺機能のフィットネス(エアロビック=有酸素運動)は、マラソン・ランナーにとって重要だが、競技の性質の違う競技セイラーに役立つのだろうか。
・エアロビック・フィットネスは、急激な高強度活動(たとえばスタート、タック、マーク周回)の後の回復を促進させる。
・アップウインドのセイリングでは最大エアロビック能力の40?60%が使われている。したがって、中程度のエアロビック身体能力が必要である。エアロビック身体能力があれば、息を切らすこともなく、より集中することができる。
・ ハイクアウトすることで大腿四頭筋と腰屈筋は継続的な収縮を行なうので、筋肉内の血液循環が妨げられ、酸素や栄養の欠乏を招く。エアロビック・トレーニングは筋肉繊維の周囲の毛細血管の成長を促し、血流を増加させる。
・ハイクアウトする間、血圧は急激に上昇する。エアロビック・トレーニングによって、ハイクアウトによって生じる高い血圧に心臓と血管が耐えられるようになる。さらに、加齢によって起きやすい高血圧を緩和させる。
・もしレーザーの適正体重より重ければ、心肺機能の持久力トレーニングはカロリーを燃焼させる効果的な方法だ。


活動のモード
 エアロビック・トレーニングは単純だ。連続的に行なうことができ、リズミカルで呼吸しながら行える性質で、大きな筋肉群を使う運動であればどんなものでもよい。多くの種類の運動があるが、次のようなものがあげられる。
サイクリング
 レーザー世界チャンピオンのグレン・バークは、ハイクアウトが苦手だったため、2、3年の間セイリングを止めて自転車競技に参加した。セイリングに戻ったとき、彼はハイキングがずいぶん楽になったと感じた。サイクリングは腿筋肉強化に特効があり、特に体重の重い人にとってはランニングほど障害を起こすことがない。
ローイング
 ローイングは上体と下半身を同時に鍛えることができ、関節にも負担が少ない(図10-12)。オリンピックのボードセイリング金メダリストであるリー・ライ・シャンは、エアロビック・トレーニングのためにローイングエルゴメーターを使っている。(トレーニングについては参考図書で紹介したConcept2 Indoor Rowerのウェブサイト参照)


図10-12 ローイングエルゴメーターは上体と下半身を同時に運動させる


ランニング
 ランニングは荷重運動であるために、体重の重い人や膝や足首に障害のある人にとっては特に問題を起こしやすい。しかし、どんなレガッタ会場ででもできる便利な運動ではある。
スイミング
 スイミングは、下半身より上体を使う運動で、深刻な傷害はめったに起こらない。足ひれをつけてのトレーニングは、腸腰筋と膝屈筋を鍛える優れた方法だ。トレーニング傷害率はランニングと比較してより低い傾向があるが、プールが遠い人にとっては手軽なトレーニングとはいえない。
強風でのセイリング
これは、もちろんセイラーに最も適したトレーニングだ。
エアロビック・トレーニングとして、シーズン中はセイリングし、シーズンオフの間は他の運動を行なうことができる。エアロビック・トレーニングは長い時間を必要とすることが多いので、トレーニングが新鮮さを失ったり、オーバーユースによる傷害を防ぐために、クロス・トレーニング(1種類の運動だけに頼るのではなくいくつかの運動を交互に行うこと)を行う方がよい。


トレーニング強度と量
 トレーニング強度(トレーニングの激しさ)は心拍数によって測定することができる。目標となる心拍数は、最大心拍数の60?90%でなければならない。
 算定最大心拍数(1分間)=220?年齢
 あなたが20歳であれば、最大心拍数の60%は次のようになる
 年齢による最大心拍数=220?20=200(1分間)60%の運動強度= 0.60×200 = 120拍(1分間)
トレーニングの持続時間は、運動強度に依存する。より高い強度の運動を少なくとも30分続けなければならないとすると、軽い強度の運動は45分続けなければならない。最大心拍数の60%未満、10分未満、週2日以下のトレーニングは心肺機能の強化・維持のためには不適当であり、エアロビック・トレーニングは週3?5回が好ましい。

サーキット・ウェイトトレーニング

 サーキット・ウェイトトレーニングは、心拍を上げておくために、す速く連続して(運動の間の休みは15?30秒)行う一連の筋力トレーニングで、エアロビック持久力トレーニングと筋力トレーニングを合わせたものだ。まだ鍛えられていない部分の筋肉強化にはいくらかの効果はあるが、心肺機能の改善効果は最小だ。初心者には適したトレーニング法であるが、エアロビック・フィットネスの向上のためにはサーキット・トレーニングは不適当な刺激になる。ただし、時間効率は利点なので、通常のジム・ルーチンに変化を加えるために行ってもよい。