10. セイリング・フィットネス
content by Michael Blackburn
reviewed by Todd Vladich, Pia Bay, Jacqueline Ellis, Saratha Bhai Krishnan, and Sharifah Shwikar Aljunied
柔軟性
柔軟性とハイキング
柔軟性はテクニックと敏捷性を向上させ、ケガの危険を減らす。
足をまっすぐに伸ばしたハイキングで、大腿二頭筋(hamstringハムストリング=大腿後部の筋肉)の柔軟性は、あまり強調されることがない。上体が直立しているか、内側に屈んでいるとき、屈曲は背中の下部と腰関節で起こる。そして、背中の屈曲を長く続けると、問題が出てくる。しかし、大腿二頭筋が柔軟ならば、大部分の屈曲は背中ではなく腰関節で起こるので、背中の下部の負担を減らし、ずっと快適で効率的だ(図10-1)
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図10-1 大腿二頭筋が柔軟だと、背中の下部はまっすぐなままになる。左:大腿二頭筋がかたいため、腰関節の屈曲が制限され、前屈するためには背中の下部が曲げられる。右:大腿二頭筋が柔軟だと、背中の下部をまっすぐにしたまま、腰関節の屈曲だけではるかに前屈することができる。このほうがずっと快適で効率的だ。
ストレッチング
柔軟性は、規則的なストレッチによって改善される。
ストレッチングには3つの主な方法がある。それは、静的(スタティック)ストレッチング、PNF(proprioceptive neuromuscular facilitation=自己受容的神経筋促進法)ストレッチング、動的(バリスティック)ストレッチングだ。:
1)静的ストレッチング 強く引き伸ばすのではなく、静止したままストレッチするので、最も安全で、セイラーのために適切。
2)PNFストレッチング 筋肉が抵抗に対して収縮し、そして受動的に弛緩することを反復する。効果的であるが、パートナーを必要とするため、一人で行なう場合は実際的でない。
3)動的ストレッチング 反動や強く引き伸ばす動きを使用する。体操やダンスのようなスポーツには特に効果的だが、セイリングのためには適切ではない。また、初心者には安全とはいえない。
したがって、セイラーのためには静的ストレッチングが適している。
効果を上げるためには、次ののガイドラインに従わなければならない:
・できるだけ優しく。ストレッチングは、筋肉疲労を引き起こすことがありえる。
・ストレッチングの前にウォーム・アップ(3〜5分のジョギングなど)を行ない、強く引き伸ばすことを避ける。また、痛みを感じるまでストレッチしてはならない。
・持続が大切だ。それぞれのストレッチングは少なくとも30秒続けなければならない。
ストレッチングの最初の段階では、筋肉は自然に収縮するので、筋肉が自発的にリラックスするまで伸展を保持しなければならない。言い換えると、より激しくストレッチすることよりむしろより長く保つことによって最初の痙攣に対処する。
・トレーニングとレースでのルーチン・ワークに一連のストレッチングを取り入れること。
陸上トレーニングとセイリングの前と後(たとえばシャワーの間)、そしてレースの間にもストレッチングをする。特にレース前には、考えをまとめるためにストレッチング・セッションの時間を利用するとよい。トレーニングやレースの後のストレッチングは、回復を助ける。
・ストレッチングをするときは、各主要筋肉群についてそれぞれ最低1回は行なうこと。時間があれば(トレーニングやレース後家に帰った時)、一連のストレッチを3回繰り返す。
・先に述べた通り、大腿二頭筋に対して特に注意を払うこと。レースやトレーニング前には、大腿二頭筋のストレッチングを行なうことが大切だ。また、レーザーでは大腿四頭筋(quadriceps=大腿前部)と腰屈筋(hip flexo=腰前部)のようなハイクアウトに使う筋肉の負担が大きいから、それらのストレッチングを怠ってはならない。ストレッチすることで回復が早くなる。
ストレッチングの「3」のルール
1)それぞれのストレッチは30秒保持する
2)各筋肉群を通じたセッションを3回繰り返す
3)1日3回――トレーニング前、トレーニング後、そして夜に行なう
図10-2と10-3は、水上、陸上のいずれでもできる望ましい一連のストレッチングだ。下半身のルーチン(図10-2)は特にレース前に重要だ。
a 大腿二頭筋のストレッチング:膝をまっすぐ保ち前屈する。保持のために足首、つま先、またはガンネルをつかむ。大腿二頭筋だけを伸ばすために、背中の下部をまっすぐにすること
b 大腿四頭筋のストレッチング:上体をまっすぐにしたまま、かかとを臀部に引き付ける(コックピットの端でなくて手を使うってもよい)。同時に腰屈筋もストレッチするので、腰と大腿の前面にストレッチを感じられなければならない
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c 腰屈筋のストレッチング:写真のように、腰の前面にストレッチを感じるように腰関節を広げる。バリエーションとして、同時にかかとを臀部から離して保持することで大腿四頭筋をストレッチすることができる
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d 背中下部と腸脛靭帯(iliotibial band=膝の外側面の前方)のストレッチング:肘で曲げた膝をしっかりと押して、大腿と臀部の外側にストレッチを感じる
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e 腹部のストレッチング:デッキから腰を離したまま、腹筋にストレッチを感じる
f 臀部のストレッチング:ガンネルをつかんで、腰の後部にストレッチを感じる
a 上腕三頭筋(toriceps=上腕の外側)のストレッチング:片肘を頭上に固定し、反対側に引いて上腕三頭筋をストレッチする
b 胸と上腕二頭筋(biceps=上腕の内側)のストレッチング:肩を前に出して、胸と上腕二頭筋にストレッチを感じる
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c 背中上部のストレッチング:肘を胸に向かって引き、背中上部の筋肉、特に菱形筋をストレッチする
d 前腕屈筋(forearm flexors=前腕内側)のストレッチング:手首を大きく伸ばし、前腕屈筋をストレッチする
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